治療院での骨格矯正は脊椎や骨盤を正しい姿勢や位置に戻してくれます、また治療院や自宅でのストレッチはその姿勢や位置を維持しようと体に働きかけてくれます。
しかし、それだけでは「きれいな美しい姿勢」の完成ではありません。ではどのように完成形へと導いたらよいのでしょうか。
筋力強化
欧米人に比べて、日本人の体は厚みがなく、薄く横に広がっているので、臀部や大腿部、背部、腹部の筋肉が発達しにくく、骨盤を正常な位置に固定することが困難で、骨盤が後方へ、頭を前方へとつき出してバランスを取ろうとします。つまり、無意識のうちに猫背の姿勢を取っているのです。
いくら正しい姿勢や位置に骨格を矯正しても、それを維持しようとストレッチに励んだとしても、固定や支えとなる筋肉がなければ、いずれ歪んだ状態に戻ってしまいます。
元々発達しにくい上に、痛みや年齢など運動制限がある場合、筋肉は落ちる一方になってしまいますし、筋肉落ちて弱くなると更に猫背になりやすいといった悪循環を生み出します。
それを食い止め、歪んだ悪い状態へと戻らないように骨格を支える筋肉を強化する必要があります。
脊椎のバランスを保つように背筋・腹筋・肩甲骨周りの筋肉を鍛える
腹筋ばかりを鍛えていると筋力が落ちているわけでもないのに背筋が腹筋に引っ張られて猫背になる、また、腸腰筋(ふとももの付け根にあって歩行時や足上げの時に使う筋肉)が弱っていると骨盤がお尻の大臀筋に引っ張られて後ろにずれるので猫背になるなど、片手落ちの筋トレはかえって逆効果となります。
腹筋と背筋はバランスが大切で、更には腹筋は反対側にある背筋と相乗効果を生み出します。てこのように力点のためには作用点も必要だというわけです。無理ない範囲で各10回1セットを行い、慣れてきたら1日3セットを目安に増やしていきましょう。
・腹筋を鍛える筋トレ:仰向けに寝て頭の後ろで手を組みます。息を吸いながら足をあげて膝を90度に曲げます。
おへそを覗き込むようにぐっと体を曲げて上体を起こし胎児の姿勢を10秒間キープ(呼吸も止める)。ゆっくりと息を吐きながら足・体の順番で戻します。
・背中・腰周りの筋トレ:うつ伏せに寝て顎の下に手を組みます。
肩幅よりもやや広めに脚を開き、息を吸いながら両足を上に上げて金のシャチホコ姿勢を10秒キープ(呼吸も止める)、ゆっくり息を吐きながら元の姿勢に戻します。
猫背で一番筋肉が衰退している肩や肩甲骨周りの筋肉も、併せて鍛えましょう。無理ない範囲で各10回1セットを行い、慣れてきたら1日3セットを目安に増やします。
・肩・肩甲骨周りの筋トレ:壁に向かい合って立ち、肩幅に手をつきます。そのまま息を吸いながら壁へ顔を近づけ、息を吐きながら顔を元の位置に戻すといった腕立てをします。
動作はなるべくゆっくりで、顔を壁ぎりぎりまで近付けることが大切です。
・腹這い反り起き:床にうつぶせになって腕立ての姿勢をとります。おなかを床につけたまま、息を吸いながら腕だけを真っすぐに伸ばします。
腰を反った状態で10秒キープ(呼吸も止める)。
ゆっくりと息を吐きながら元の姿勢に戻ります。腹筋・背筋・肩甲骨周りの筋肉を同時に使うので、壁の腕立てができるようになってから取り入れましょう。
腕を一気に伸ばさず、お腹を床から離さない、ゆっくり行うことがポイントです。
姿勢を意識しながらの筋トレ
歩く、座るといった動作時を使っての筋トレも可能です。腕や足を動かすことなく、意識をその箇所に集中させることで力が入り、筋肉を動かすことが可能になります。
・歩く時は、おへその辺りから足を踏み出すイメージを持ちましょう。そうすると踏み出した瞬間に腹筋が、蹴り上げる瞬間に背筋が運動を始めます。
意識するだけで姿勢を正さなくとも無意識のうちに背筋がピンと伸びるという効果があります。
・座る時は、土台となる坐骨を安定するように、前が狭く後ろが広い三角形型のイメージで椅子にのせると自然と姿勢が伸びます。
お尻の肉で座るというよりも、坐骨を意識しながら座って余計な力を抜くことで無理なく姿勢を維持することができます。
・ちょっとした待ち時間として立っている時は、両足を肩幅に開いて立ち、両手の平でおへその周りを囲むように下腹部を覆い、大きく息を吸いこんだらぐっと手の位置に力を込めて30秒ほど息を止めて下さい。
そのあとはゆっくり息をはき出します…どうでしょうか、腹筋と背筋に力が入りませんか?それを3~5回程繰り返したら終了です。立つのが辛い方は、仰向けに横たわって行ってもよいでしょう。
まとめ
腰痛で腹筋・背筋運動なんてとんでもない、膝の変形で長いこと動くことができないという方も多いはずです。学生のようにがむしゃらな運動は必要ありません。
ご紹介した筋トレはみなさんがご存じの腕立て・腹筋・背筋をもっとソフトにしたものですが、筋肉に緊張を与え、動き、強化するのに十分な運動量となっています。
一度に行わなくとも、少量の運動を一日に数回に分けて、それを毎日行うだけでも有効的です。もちろんジョギングや水泳を行っている方はそのまま継続していただくことにこしたことがなく、他にもなるべくウォーキングやストレッチを行う等方法はありますが、無理なく、毎日続けることが大切です。
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