指定難病としての強直性脊椎炎の説明

2016年2月11日 : 腰の痛み

慢性進行性である自己免疫疾患として、血清反応陰性脊椎炎の1つにも数えられる強直性脊椎炎。仙腸関節から腰椎を初めとし、胸椎、頸椎、さらには股関節や膝関節、肩関節などの骨や関節、そして靭帯や腱の付着部の炎症を引き起こす疾患です。疾患の進行はあまり速くはありませんが、経過は数十年にもわたり徐々に進行していきます。また、脊椎の変形、強直だけでなく、臓器病変を併発することもあります。その発症原因についても、ヒト白血球抗原(HLA)-B27遺伝子との関連があるとは考えられているものの、多くは未だ明らかとなっていません。この強直性脊椎炎の有病率は約0.04%とも言われており、日本人にとっては非常に稀な疾患でもあります。この強直性脊椎炎は2015年に厚生労働省の定める指定難病として指定を受けました。これによって、一体どのような恩恵が期待できるのでしょうか。

 

難病とは

難病とは、一般的には発症原因が解明されておらず、確固たる根治療法が確立されていない数々の疾患を指し示す総称であるとされています。この難病という概念は、昭和40年代に急増したスモンという疾患がきっかけとなって生まれたと言われています。スモンとは、視神経や脊髄、末梢神経を障害し、下痢や腹痛といった腹部症状や、下肢の脱力、立ち上がり動作や歩行が困難となるといった症状を引き起こす疾患です。このスモンという疾患に対して、詳細な研究が行われたことをきっかけとして、昭和47年に難病対策要綱が策定されたようです。

 

この要綱における難病は、
1)原因が不明であり、治療方法も未確立、なおかつ後遺症を残すおそれが少なくない疾病
2)経過が慢性にわたることで、経済的な問題だけでなく、介護などに人手を要するために家族の身体的・精神的負担が大きい疾病、として定められています。
この難病に対しては、調査研究の推進や医療施設の整備、医療費の助成などの対策が進められています。

 

平成27年からは、“難病の患者に対する医療等に関する法律”というものが定められ、施行されています。この法律の対象となるのは、指定難病と呼ばれる疾患であり、1)発病の機構が明らかでない、2)治療法が確立されていない、3)希少な疾患である、4)長期療養を必要とするもの、5)国内での患者数が一定の人数に達しない、6)客観的な診断基準が確立されている、という条件が定められています。現在では、306疾病がこの指定難病として定められており、医療費助成などの恩恵を受けることができます。

 

強直性脊椎炎は以前までは、東京都においてのみ難病医療費助成を受けることができる疾患でしたが、平成27年より厚生労働省が定める指定難病として、全国で医療費助成を受けられるようになりました。

 

強直性脊椎炎の診断基準と重症度

強直性脊椎炎の診断基準には、世界中の学会でよく用いられているニューヨーク改定基準というものの確実例が用いられています。

これは、3つの臨床症状と仙腸関節のX線所見から構成されており、臨床症状のうち1つ以上とX線所見が当てはまるものを確実例、臨床症状3項目のみ、もしくはX線所見のみ当てはまるものを疑い例としています。臨床症状としては、3ヶ月以上持続し、かつ運動によって軽減する腰背部痛・こわばり、胸椎の可動域制限、胸郭の拡張制限の3つがあります。X線所見では仙腸関節の炎症の程度を0〜4度に分類し、両側の仙腸関節で2度以上、もしくは片側の仙腸関節で3度以上の炎症所見が見られた場合と定義されています。これらの条件を満たした上で、類似した疾患である乾癬性関節炎や反応性関節炎、炎症性腸疾患に伴う関節炎や関節リウマチなどいくつかの疾患との鑑別診断を行うことで、強直性脊椎炎として診断を受けることになります。

 

そして、強直性脊椎炎として医療費助成を受けることができるのは、指定難病として定められた診断基準を満たした上で、重症度が一定以上である場合となります。この重症度は、それぞれの指定難病の特性に対して、日常生活や社会生活に支障をきたすと医学的に判断される程度であるとされています。強直性脊椎炎の重症度としては、いくつかの項目を複合的に評価したBASDAIスコアやBASMIスコア、もしくはX線所見や薬物療法への反応性、合併症である急性前部ぶどう膜炎などによって基準が定められています。

 

これらの診断基準と重症度基準を満たすと、医療費助成の対象となります。その申請にはお住まいの都道府県での手続き、もしくは指定難病審査会での手続きが必要となります。医療費助成の対象となるのは、病院での診察や治療費、薬剤費、さらには訪問看護や訪問リハビリテーションといった在宅サービスも含まれます。ただし、医療費助成を受けることができるのは、各都道府県で定められた指定医療機関のみということになります。詳しい手続きの方法や利用可能なサービス内容の詳細、指定医療機関については、お住まいの都道府県の窓口に確認するのが良いでしょう。

 

 

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