レントゲンでスコッチテリアの首輪が見えたら分離症なんですよ

2015年11月25日 : 未分類

脊椎(せきつい)分離症は、成長期のスポーツを習慣的に行う子供にしばしばみられる背骨(せぼね)の病気です。発症したばかりのときに治療を開始すれば、完治する可能性が高いため早期発見・治療が望まれます。

 

分離症を改善するための治療についてお伝えします。

 

1.分離症の病期分類とは?

治療を開始するまえに、病気分類を評価する必要があります。ほとんどの病気に対して病期分類が用いられていますが、病期とは病気の進行具合を示しており、治療計画や今後の経過を予想するうえで非常に重要な指標となります。

分離症の病期評価には、画像検査が行われます。

レントゲンを行えば、腰椎分離症や腰椎すべり症を診断することは可能です。レントゲンでは分離した部分が黒く抜けて、スコッチテリアの首輪に見えることがあり、「スコッチテリアサイン」と名前がついています。

しかし、より詳細に病気の進行度を判定するために、通常はCTやMRI検査が行われます。とくに脊髄の圧迫が疑われる場合はMRIが必要であり、症状が似ている若年性ヘルニアとの鑑別にも有用です。

分離症は様々な分類法がありますが、「西良による分類」では、CTとMRIの検査の結果をもとに、病期を「早期」「初期」「進行期」「偽関節期」に分類しています。

このほかCT所見での分類では、CTでHair line (髪の毛のような黒く細いライン)を認めれば「早期」、Clear gap(明確な分離)を認めれば「進行期」、さらにくっきりと分離して時間が経過した状態は「終末期」と表現され、分離した部分が偽関節に至った状態を示しています。

 

2.分離症にはどんな治療があるの?

どの病期であっても、まずは手術を行わない保存療法が基本です。コルセットによる体幹の固定や疼痛に関する薬物療法が主流です。

スポーツによる過度の負荷が原因なので、まずはスポーツをお休みすることが重要です。それに加え、子供の成長期腰椎分離症では、発症の「早期」であれば、数ヶ月~半年ほどのコルセット着用で分離した部分の骨癒合(こつゆごう)が期待できます。

骨癒合とは分離した骨がふたたびくっつくことです。適切な早期の治療で約9割に近い骨癒合が期待できると言われています。画像などで、分離部分の安定性や骨癒合の完成度を評価しながらコルセット治療を終了する時期を検討します。

この時に用いるコルセットは、市販のコルセットではなく、患者さんの腰のにあったオーダーメイドの医療用コルセットです。軟性コルセットと硬性コルセットがあります。

軟性コルセットはしっかりした支柱が入っており、市販の簡易コルセットよりも固定力が高くなります。「進行期」以降では硬性コルセットが主に用いられます。プラスチックや金属の支柱が使われており、固定力はコルセットの中でも最強です。市販のコルセットでは効果が確認されていないので注意が必要です。

また、成人の場合でも、コルセット使用により、腰の動きを制限し、腰を使う動作のときに分離した部分への負荷を軽くして、腰痛を予防・軽減する効果があります。

通常、お腹の筋肉である腹横筋がお腹を前から後ろに向かって抑えてくれることで腰にかかる負担が減るのですが、コルセットはこの腹横筋の役目を助ける働きがあるため腰痛が改善するのです。

 

3.すべり症を予防するために

脊椎と脊椎の間には椎間板(ついかんばん)があります。若年では、椎間板と脊椎の間にはやわらかい成長軟骨があり、分離症があると不安定な脊椎を支えきれずに、上下の椎骨がずれる「すべり症」が起こりやすくなります。

分離症自体は男児に多く、発症頻度は女児の約2倍ですが、ひとたび分離症を起こすと、女児の方が男児よりも2倍、すべり症を起こしやすいという報告があります。

すべり症をおこすと、腰痛やしびれ・筋力低下といった神経根症状が現れる可能性が高くなるため、すべり症への進展を予防することが重要です。

特に骨年齢が幼若な小学生の場合ではすべり症のリスクが高いため、いずれの病期においてもすべり症への進行を予防するために、スポーツを中止して、コルセットによる固定を行うことが多いです。

高校生以降になると、成長軟骨は骨に置きかわり、上下の脊椎どうしの固定力が高まるため、すべり症がおこりにくくなります。

 

4.その他の治療

腰椎分離症のリハビリテショーンとして、腰椎を安定させるために、腰部と骨盤の筋肉を強化する体操と筋肉を伸ばすストレッチを行います。自己流ではなく、医師やリハビリの先生と相談して、正しい運動を行うことが大切です。

この運動は、スポーツを中止している間も行います。また、治療が終わってからも継続することが大切です。

疼痛がある場合は、経口内服薬の鎮痛薬を使用しますが、それでも症状が改善しない場合は神経ブロックを行うことがあります。

さらに、分離症が進展して、分離すべり症となり、下肢の痛みや筋力低下などの神経症状がある場合や、スポーツ選手として今後もスポーツを続けたい場合など、症状や本人の希望を考慮して手術が選択されることがあります。

 

 

 


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