坐骨神経痛の原因

2015年11月11日 : 未分類

つらい腰痛や、腰から臀部、足のしびれなどの症状を引き起こす坐骨神経痛。

 

一般的にもその名がよく知られている坐骨神経痛ですが、これは症状の名称であり、病名ではありません。坐骨神経という神経が圧迫されることによる神経症状が坐骨神経痛となります。

 

坐骨神経とは、腰の部分から臀部、太ももの後ろ側、ふくらはぎ、足の裏へと走行していく神経であり、これらの部位の筋肉の収縮や痛みやしびれ、温冷覚などを司ります。そのため、この坐骨神経が圧迫されることで、上記部位に症状をきたすのです。

 

今回は、この坐骨神経痛という症状をきたしうる、原因疾患について見ていきましょう。

 

腰部脊柱管狭窄症

高齢者における坐骨神経痛は腰部脊柱管狭窄症が原因となることが多いです。

 

私たちの身体は脳と脊髄という中枢神経から出た、神経の枝が手足へと分布し、手足の運動や感覚を脳と結びつけています。このうちの脊髄は、私たちの脊椎(背骨)の中を通っており、脊椎の中の脊髄が通る空間を脊柱管といいます。

 

腰部脊柱管狭窄症とは、この脊柱管が腰の部分で狭くなってしまうことで神経を圧迫している病態です。脊柱管は加齢を含めさまざまな原因によって狭窄を招きます。脊柱管の狭窄によって坐骨神経が圧迫されると坐骨神経痛の症状を起こしますし、大元の脊髄自体を圧迫すると、より重度な症状を引き起こすことにもなります。臀部や脚のしびれだけではなく、運動麻痺や、排尿や排便の困難をきたす膀胱直腸障害といった症状を招くこともあります。

 

腰椎椎間板ヘルニア

一方、働き盛りの方など、年齢の若い方の坐骨神経痛は、腰椎椎間板ヘルニアが原因であることが多いです。

 

椎間板とは私たちの身体の脊椎を構成する椎体という小さな骨と骨の間に挟まれている円板状の線維軟骨です。この椎間板は脊椎の柔軟な動きをサポートする役割や、脊椎にかかる衝撃を緩和するクッション作用を有しています。腰椎椎間板ヘルニアは、この椎間板の中にある髄核というゼリー状の組織が、何らかの理由で外に押し出されてしまった状態です。

 

この外に押し出された髄核が、脊柱管の中を通っている神経を圧迫してしまうことで、しびれや痛みといった神経症状を引き起こします。この際に、髄核がどの部分の神経を圧迫するかによって、症状の出る部位が変わってきます。髄核が坐骨神経を圧迫してしまった場合に腰や臀部、足の裏などのしびれといった坐骨神経痛の症状が生じます。

 

梨状筋症候群

また、梨状筋という筋肉が凝り固まることで、坐骨神経痛が生じていることもあります。

 

梨状筋とは大臀筋という臀部にある大きな筋肉の深層にある小さめの筋肉です。脊髄から分岐した坐骨神経は腰椎の合間を抜け、この小さな梨状筋のすぐ真下を通って、足先へと伸びていきます。この梨状筋がランニングなどのスポーツによる使い過ぎ、またはデスクワークなどの不活動によって硬くなってしまうことで起こるのが梨状筋症候群です。この梨状筋症候群の症状の1つとして、硬くなった梨状筋がすぐ近くの坐骨神経を圧迫してしまうことがあります。

 

梨状筋症候群の場合には、運動時や股関節に力を入れた際にも神経圧迫が強まり症状が増強します。また、硬くなった梨状筋を圧迫した際には梨状筋自体に非常に強い痛みを発します。

 

脊椎・脊髄腫瘍

また、脊椎や脊髄に腫瘍ができている場合にも、頻度は多くはありませんが、坐骨神経痛の症状を引き起こすことがあります。

 

腫瘍とは、細胞の異常な増殖が原因となり大きな塊ができた状態であり、この腫瘍が脊椎や脊髄に生じたのが脊椎腫瘍、脊髄腫瘍となります。この腫瘍のうち、悪性のものが悪性腫瘍、いわゆる癌と呼ばれるものであり、正常な細胞組織を浸食してしまうことになります。一方で、一定以上大きくなることはなく、転移などを起こすこともないのが良性腫瘍と呼ばれるものになります。

 

脊椎腫瘍、脊髄腫瘍では腰や背中の慢性的な鈍い痛みを伴うことが多く、夜間横になっている時や休憩をしている安静時にも痛みが持続するのが特徴的です。その他にも、患部を押した際の圧痛も生じます。

 

また、増殖した腫瘍によって神経を圧迫されることで足のしびれなどの坐骨神経痛の症状を引き起こします。さらには、脚の筋力の低下や歩行困難、排尿障害や膀胱直腸障害といった症状まで起こることもあります。これらの症状の現れ方は、腫瘍のできた位置、つまりは他の疾患同様、神経の圧迫された部位によって異なります。

 

このように、腰部脊柱管狭窄症や腰椎椎間板ヘルニア、梨状筋症候群、脊椎腫瘍、脊髄腫瘍などさまざまな原因によって坐骨神経痛は引き起こされます。坐骨神経痛、という症状に対しての対応は共通する部分も多いですが、その根本的な治療のためには何が原因で症状が起きているのか、という原因疾患の鑑別が重要となります。坐骨神経痛以外の随伴症状から、自分の原因疾患について考えることも大切です。

 

 

 


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