2016年2月17日 : 膝の痛み
膝の痛みはほぼ全ての人が経験したことがあると言われています。しかし、若い人と高齢者、スポーツをする人とそうでない人など、症状の現れ方や原因が異なります。
そこで今回は、症状別にどんな病気が考えられるかをお伝えします。
風邪症状が見られる
感染症や関節炎を起こす他の病態では、風邪の症状とともに膝関節の痛みを生じることがあります。
下記に当てはまる症状はありませんか?
・発熱
・下痢・吐き気・嘔吐
・さむけやふるえ
・全身のだるさ
・食欲が低下する
・体重が減少する
考えられる病気としては、以下が挙げられます。
- ウイルス性感染症(インフルエンザ、胃腸炎、上気道炎など)
年齢に限らず最も頻度が高いのが、感染症による関節の痛みです。ウイルス性の感染症では、全身の関節(特に脇、股、膝、背中、首)に痛みを感じることが多いのが特徴です。
熱が出る前兆や発熱時に一番痛みが強く、解熱すると痛みが和らぐことが多いです。一過性のものですので心配いりません。
- 関節リウマチ
主に2つのタイプがあり、若年性と高齢者に起こるものがあります。女性の方が罹患率が高く、遺伝性、自己免疫系の異常など多因子が関わっていると言われています。症状の現れ方には個人差が非常に大きいのですが、朝の手のこわばりといった、手・手首の関節から症状が始まることが多いです。
進行性の病気であり、慢性的な関節の炎症により全身の関節が固まってしまうため、放置は禁物です。治療により進行を遅らせる必要があります。
- 単純性股関節炎
3歳から12歳くらいの男児に多く、怪我、風邪、あるいは原因なく、膝や股関節を痛がる病気です。股関節を深く曲げたり伸ばしたりする動きで痛みが強くなることが多く、足を引きずるようにして歩くのが特徴です。
初期症状として、膝の痛みを訴えることがあります。他の関節の痛みがないかを確認してあげてください。
- 化膿性膝関節炎
膝の水を抜く穿刺処置をしたことがある人、膝の手術をした人などは、処置時に膝に細菌が入るリスクがあり、化膿することがあります。しかし、原因がはっきりしない場合もあります。
特に寝たきりの高齢者では、化膿性関節炎を起こすことが少なくありませんが、全身の倦怠感や発熱など、風邪のような症状を生じるために誤診されることがあり、適切な治療をされないと敗血症を起こす危険があるため注意が必要です。
膝を曲げ伸ばしすると痛む
スポーツを習慣的に行っている人、高齢者、事故が主な原因となります。安静時には痛みがないことが特徴です。
まずは、スポーツを習慣的に行う若者に多い病気としては以下になります。
- 半月板損傷(はんげつばんそんしょう)
関節でクッションの役割を果たしている、「半月板」という軟骨が、主にスポーツにより習慣的に大きな負荷がかかることで、欠損したり断裂する病気です。
- 離断性骨軟骨炎
習慣的なスポーツによる膝への負担が蓄積して、膝関節の軟骨部分が壊死(死ぬこと)して剥がれる病気です。
- 棚(たな)障害
膝関節の関節包の内側には、約半数の人に「ひだ」があります。そのひだがスポーツやその他のきっかけで関節に挟み込まれて炎症を起こします。
- 腸脛靭帯炎(ちょうけいじんたいえん)・ランナー膝
「腸脛靭帯」という太ももの骨の外側を走る靭帯に炎症が起こる病気です。運動時の膝の外側の痛みや圧痛があります。ランナーに多いため、ランナー膝とも呼ばれています。
- 鵞足炎(がそくえん)
ランニングやサッカーなど膝をひねる運動により膝の内側にある腱がこすれて炎症をおこし、膝下の内側に痛みや圧痛を生じる病気です。
- オスグッド・シュラッテル病
小・中学生のスポーツを習慣的に行う人によく見られるため、スポーツ障害の一つとして知られています。骨の成長過程での異常で、脛骨に異常が起こります。
次に、高齢者に多い病気は以下になります。
- 変形性膝関節症
膝関節を長年使いすぎたり、太り過ぎて膝に長時間の負担がかかることなどが原因で、膝の軟骨が磨り減り、進行すると骨も変形してしまう病気です。
高齢者の膝の痛みのほとんどが変形性膝関節症によるものですが、似た症状を示すものとしてはリウマチ性、痛風性、偽痛風性、感染性があり、他の症状の確認に加えて、レントゲンや関節液の検査を行い、他の病気を除外する必要があります。
最後に、年齢に限らず起こるものは以下になります。
- 関節ねずみ・関節内遊離体
膝関節の骨や軟骨が一部はがれて、関節内を動き回ることにより痛みを生じます。スポーツや事故、加齢による骨・軟骨の破壊など、さまざまな原因により生じます。
膝がガクンと落ちる、ぐらつく
多いのはスポーツによるものです。その他にも、変形性膝関節症やリウマチ性膝関節炎などが原因で関節に水が溜まることも原因になります。
- 靭帯損傷(じんたいそんしょう)
主にスポーツや事故により靭帯に大きな負荷がかかり、靭帯の一部が裂けたり、断裂することにより起こります。例えば、サッカーでは前十字靭帯断裂を起こした有名な選手がたくさんいます。
- 関節水腫
関節内は、軟骨がすり減るのを防ぎスムーズに関節が可動できるよう、「関節液」という液体で満たされています。しかし、感染やリウマチなどをきっかけに、あるいは明らかな原因なく関節液が異常に溜まることがあります。
膝が腫れている ブヨブヨする
前記した病気の中には、関節液や血液、膿が関節にたまることにより、関節が腫れるものがあります。
関節液がたまるもの
- 変形性膝関節症
- 痛風性膝関節炎
- 偽痛風性膝関節炎
- 関節ねずみ、関節内遊離体
- 関節リウマチ
- 離断性骨軟骨炎
血液がたまるもの
- 半月板損傷
- 靭帯損傷
- 膝蓋骨骨折
膿がたまるもの
- 化膿性関節炎
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