2015年10月30日 : 腰の痛み
腰部脊柱管狭窄症の症状に似た症状がでた場合はどのような医療機関にいけばよいのか迷われる方もいると思います。
慢性腰痛や、ぎっくり腰などのように腰に痛みがある場合は、すぐに整形外科や整骨院、整体院、鍼灸院、カイロなど思い浮かべる方もいると思います。
腰部脊柱管狭窄症の場合は腰の痛みを伴わない事もありますので、どこに行けば良いのか迷われる方もいます。
足にしびれや痛みがでたり、数百メートル歩くと痛みやしびれで歩けなくなり、前かがみで少し休むとまた歩けるといった症状があるなら、まずは骨や神経の状態がみれる整形外科を受診して下さい。
レントゲンやMRIなどの画像検査をしてくれます。できればMRIのある整形外科をお勧めします。レントゲンでは骨はみえても神経まではみることができません。まずレントゲンをとり、異常がみられればより詳しく検査をするためにMRIをとるということをされる整形外科もあります。
自分の腰の状態を知ることは大事になってきます。脊柱管狭窄症のような足に痛みやしびれにより、歩くことが困難な場合は神経の圧迫が考えられますので、画像検査をする事により圧迫個所が特定できます。
病院ではどのような治療法があるのか?
治療法は主に2つに分けられます。
1つは薬による治療や、運動療法、電気、牽引、神経ブロック(注射)など保存療法
2つ目は手術療法になります。手術は保存療法の効果がなかった場合や日常生活に大きな支障(筋力低下や支えなしで歩けない、膀胱直腸障害などの神経障害)がでる場合に検討されます。
薬にはどのような薬があるのか?
・筋肉の緊張を緩める
・しびれに改善効果のあるビタミン剤
・痛みや炎症を抑える
・神経の血流改善
といった作用のある薬を処方されます。
神経ブロック
局所麻酔薬やステロイドを注射して神経を麻痺させて痛みをとる方法です。神経ブロックには、硬膜外ブロックと神経根ブロックがあります。
硬膜外ブロック
背骨には脊柱管という筒状の空間があり、その中には神経が入っている硬膜というふくろがあります。硬膜外ブロックとは脊柱管内の硬膜の外側に局所麻酔薬やステロイドを注入します。
神経根ブロック
神経根に局所麻酔薬やステロイドを注入します。
神経ブロックは、薬を一定期間飲んでも、運動療法をしても効果がなかったり日常生活に支障がでるような痛みが強い場合に検討されます。
脊柱管狭窄症の手術とはどのようなものなの?
手術の方法としては椎骨の椎弓という部分を削ったり、場合により全部除去し、神経を圧迫している骨や厚くなった靭帯を削り取って神経の圧迫をなくします。
椎弓を削り取ったり、除去する範囲により腰椎が不安定になる場合があります。その場合は本人の骨盤(腸骨)から取った骨を腰椎に移植して金属で固定したり、チタン製インプラントで腰椎を補強します。
狭窄されている場所の範囲により内視鏡で行なうこともあります。
手術後の経過は?
症状がでてからの経過が長い場合や、圧迫されていた神経の働きが元通りに戻ろうとする力(自然治癒力)がうまく働いていなければ、しびれなどの症状が残ってしまう場合があります。
手術をしてしびれや痛みが改善しても、今までと同じような生活習慣を続けていると再発する可能性はゼロではありません。
腰部脊柱管狭窄症になるということは症状がでるまでに今までの生活習慣で何かしら腰に負担がかかるような要因があると考えられるからです。
最後に
症状がでてからの経過が長くなると痛みしびれが十分にとれない場合があるため、手術を行う時期は医師と十分に相談して下さい。
脊柱管狭窄症と診断されて症状がでていても重度でない場合は生活習慣を変えたり、体を整えることにより症状の改善に繋がりますので、症状が軽いうちに自分に合った治療をしっかりしていくことが大切です。
高齢者に多い腰部脊柱管狭窄症について
2015年10月22日 : 腰の痛み
腰部脊柱管狭窄症について
腰痛にはいろいろな原因や症状があります。今回は脊柱管狭窄症について書いていきます。
背骨の構造
脊柱管狭窄症を理解するには、まず背骨の構造を知ることが大事になってきます。背骨は、椎骨という骨が積み重なってできています。椎骨は椎体と椎弓という部分に分かれています。椎体と椎弓の間には、椎孔という空間があります。脊柱管とは、椎骨が積み重なってできる椎孔の筒状の空間を言います。脊柱管の中には神経の束(脊髄)や血管が通っています。神経は脊柱管を通って枝分かれして体の各部へ伸びていきます。脊柱管には脊髄を守る役割があります。
なぜ腰部脊柱管狭窄症はおこるのか?
脊柱管がどこにあり、どういったものか少しわかったと思います。脊柱管狭窄症とは脊柱管が狭くなり神経や血管を圧迫している状態をいいます。脊柱管が狭くなると聞いてもなかなかイメージが持てない人もいると思います。どのように狭くなるのでしょうか?
脊柱管を取り囲む椎体や椎弓の変性や靭帯の肥厚、椎間板の変性による膨隆、突出により脊柱管が狭くなります。また、脊椎すべり症により上下の椎骨がずれ脊柱管が狭くなる場合もあります。
生まれつき脊柱管が狭い先天性の場合もありまが、なぜ椎体や椎弓の変性や靭帯の肥厚、椎間板の変性による膨隆、突出が起こるのか?その原因は何なのでしょう?
腰部脊柱管狭窄症になりやすい人を考えてみるとわかりますが、高齢の方に多くみられます。
すべての脊柱管狭窄症にいえることではありませんが、加齢に伴う変化が原因で脊柱管が狭くなります。
加齢により変形性脊椎症が起こりやすくなります。変形性脊椎症による椎体の※骨棘(椎体外側にできる)や、すべり症、椎間板の膨隆、黄色靭帯の肥厚、椎間板の変形などにより脊柱管が狭くなります。
※骨棘・・・骨に加えられた何らかの刺激により骨組織が増殖し、棘状になったもの。
どんな症状があるのですか?
症状は人それぞれですが代表的なのが、
・腰痛
・腰のまわりが重い、違和感、はり感
・足のしびれや痛み
・座ったり、しゃがんだりすると楽になる
・自転車に乗る時は症状がない
・カートなど前傾すると歩くのが楽
・座っている時や下のものを取るときなど普段は何ともないが、歩行時に足がしびれてきて数百メートルしか歩けないが、前かがみになって少し休むと、また歩き出すことができる(間欠性路行)などです。
下肢の症状は、太ももからふくらはぎ、足の裏などにでますが、両側にでる場合や片側だけにでる場合もあります。
また、つま先が持ち上がらず、ちょっとした段差や階段で躓く、スリッパが脱げやすいなど足に力が入りにくいこともあります。
さらに症状が悪化すると歩行時に尿意を催すなどの排尿障害や便秘、会陰部(肛門と股間の間)に灼熱感などの異常が起こってきます。腰痛が全くない場合もあります。
※間欠性路行・・・下肢の血管障害でも同じような間欠性路行の症状を出すことがあります。ただしこの場合は、姿勢を前かがみになっても症状の変化はありません。
良く耳にする椎間板ヘルニアとの症状の違いは?
腰椎が関係しているもので足のしびれを伴うものは、腰椎椎間板ヘルニアと腰部脊柱管狭窄症です。椎間板ヘルニアは脊柱管内に飛び出した椎間板組織が症状の原因であり、若い人に起こりやすく、前にかがむと腰が痛みます。ヘルニア組織は、神経の圧迫の度合いにもよりますが、自然に縮小し、神経の圧迫が軽くなることもあり、MRIなどの画像でヘルニアがあっても症状がでない人もいます。
腰部脊柱管狭窄症は高齢者に多くみられます。狭くなった脊柱管は、自然に広くなることはありません。ヘルニアとは異なり前かがみになると症状が楽になるのが特徴です。
最後に
今回は腰部脊柱管狭窄症の症状について書いてきましたが、次回は症状がでた時にはどこへ行けば良いのか、どんな検査をするのか、どのような治療法があるのかなどを書いていこうと思います。
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