2016年2月24日 : 肩こり
首が回らない、手のしびれがある、頭痛がある…など、首の痛みには様々です。こういった首の痛みは、「首のコリ」「首を動かすと痛い・手指のしびれや筋肉低下がある」「首に圧痛がある」「右あるいは左のみに認める痛み」のタイプに分けられます。
今回は、首の痛みをタイプ別にわけて、どんな病気が考えられるのかをお伝えします。
「首のコリ」タイプ
長時間のデスクワークで、首に負担をかける体勢を続けている人が、首の痛みを訴えるケースが増えています。
これは、パソコンやデスクワークをする際に、背中を丸めて、頭を前に突き出した「スラウチ姿勢(前屈みの姿勢)」をしているためです。この状態が習慣化すると骨格が変化して「首が前にでて、背中が後ろに丸く曲がった状態」になります。俗称的には「猫背」、医学的に言うと「脊椎後弯症(せきついこうわんしょう)」または「円背(えんぱい)」です。
この状態を長期間続けていると、6〜7kgある頭を支えている首、肩、背中の筋肉に負担がかかり、首から背中にかけての筋肉が凝り固まってしまいます。そのため、首の痛みに加えて、肩こりや背中の痛み(背部痛)を感じることがあります。
日本人のなんと約7割が猫背といわれています。スマホの使用やパソコン業務のために、長時間、下を向いて前かがみになり、自ら猫背になるように日々骨格を変化させているのです。そのため、普段の日常生活でも猫背の状態となってしまいます。
さらに、最近問題となっているのが「ストレートネック」です。スマホやパソコンで長時間使用していると、頭を前に突き出した状態が続いて首の骨が変形し、もともと生理的湾曲(わんきょく)がある頚椎(首の骨)がまっすぐになることを「ストーレートネック」と言います。生理的弯曲がなくなった首では、頭の重心が前にずれて、重い頭を首や肩、背中の筋肉が常に支えなくてはいけなくなり、筋肉のコリが慢性化して、首の痛みがでます。
小中学生といった幼い頃から、スマホやゲーム機などで長時間使用する人が増えたため、「ストレートネック」による首の痛みに悩む若者が増えてきています。ストレートネックと猫背はセットで生じることが多く、非常に首のコリを生じやすい状態と言えます。
そのほか、足を組む、あるいは片方の足に体重をかけて立つ癖がある人は、骨盤のゆがみが生じやすく、姿勢が悪くなるために首のコリを生じることがあります。また、片方の肩にばかりカバンを持つ人や、髪の毛の分け目がある女性も体や顔が傾いて、左右の筋肉のバランスが悪くなります。みなさんは当てはまるものがありますか?
「首を動かすと痛い・手指のしびれや筋肉低下がある」タイプとは?
中年以降、特に50歳前後で発症することがある「頸椎症」「後縦靱帯骨化症(こうじゅうじんたいこっかしょう)」、30歳頃から見られる「頸椎椎間板ヘルニア」は首を動かすと痛みが生じるのが特徴です。
頸椎症や頸椎椎間板ヘルニアは加齢やオーバーユーズ(何度も同じ動作をすること)により、頸椎が圧迫・変形する病気です。
後縦靱帯骨化症は複数の要因で発病すると考えらており、老化現象に加えて、糖尿病や肥満傾向の人、家族歴がある人(遺伝性)などがリスクとなります。未だ原因の特定には至っていませんが、特に家族歴がある人に多く認めることから、遺伝子が関連する説が有力です。
これら病気では、首や肩周辺の痛みから始まり、次第に指先が痺れてきます。進行すると次第に足まで痛みや痺れの範囲が広がります。症状が高度な場合は手術が選択されますが、再発することがあり、難治性の疾患の一つです。
交通事故、転落などで起こる「頚椎捻挫・骨折」「頸髄損傷」があります。頚椎捻挫・骨折は事故の衝撃で頭が前後に揺さぶられて、首の筋肉が捻挫または頚椎が骨折した状態で、首を動かすと痛みを生じます。
頸髄損傷では、障害された神経よりも下位(お尻側)の神経が一部または全てしなくなります。首の痛みより、障害された神経による運動障害、知覚障害、自律神経障害、排尿障害のほうが問題になります。
「首に圧痛がある」タイプとは?
上気道感染症(のど、はなのカゼ)や肺炎にかかると、首のリンパが腫れて首の痛みを生じたり、首を含めた関節が一時的に痛むことがあります。原因の感染症が改善すれば、首の痛みも消失します。首にコリコリとしたリンパ節を触れて、そこに圧痛があれば、感染症によるリンパ節腫脹の可能性が高くなります。
また亜急性甲状腺炎では前頚部(首の前面)に圧痛を認めることがあります。
「右あるいは左のみに認める痛み」のタイプ
非常にまれですが、心筋梗塞でも首や左肩周囲の痛みとして感じられることがあります。生活習慣病(糖尿病、高血圧、脂質異常症、高尿酸血症など)がある人や狭心症・心筋梗塞・脳卒中(脳梗塞、脳出血)を起こしたことがある人は、「突然」首が痛くなった場合には注意しなければなりません。通常、首の痛み以外にも、冷や汗、動悸、心臓周囲の痛みや吐き気・気嘔吐など、他の症状も一緒に見られます。
また、食道疾患、胆のう・胆管疾患、胃疾患でも首または首周囲に痛みを生じることがあります。この場合、首を動かしたら痛むのではなく、食前後や、体位によって症状が増減し、症状に左右差(胆のう疾患では右頸部痛、胃疾患では左頸部痛など)があることが多いのが特徴です。随伴症状としては、腹痛、吐き気・嘔吐、発熱などがあります。
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2016年2月22日 : 肩こり
首の痛みといっても、首のコリ、首が回らない、指先がしびれるなど付随する症状や性質は原因により様々です。また、急性と慢性でも、首の痛みの原因は大きく異なります。
今回は、解剖学的な分け方で首の痛みの原因を分かりやすくお伝えします。
首に痛みを生じる原因は?
首の痛みの原因を考える際には、首の解剖別に原因を考えると分かりやすいかもしれません。
その分け方とは、
・首の筋肉によるもの
・頸椎の圧迫・変形によるもの、及び頸髄の圧迫・損傷によるもの
・内臓疾患による関連痛
・腫瘍、感染症によるもの
の4つです。
では、一つずつ詳しく見ていきましょう。
首の筋肉が原因
みなさんは1日何時間くらい、パソコン、スマートフォン、ゲームをしていますか?グローバル社会に生きる現代人は、これらの端末とは切っても切れない関係を築いています。しかし、長時間のパソコン業務により、うつむき姿勢の時間が長くなり、「猫背」や「ストレートネック」になる人が増えてきました。
「猫背」は頭が前にでて、背中が丸まった状態のことで、「ストレートネック」とは、もともとある頚椎(首の骨)の湾曲がなくなり、頚椎がまっすぐになる骨格の異常です。
どちらにしても、6〜7kgある頭の重心が前にずれるため、首の筋肉で頭を支える必要があり、ずっと緊張状態の首の筋肉が凝り固まってしまい、首の痛みの原因となります。
その他にも、骨盤のゆがみ、側湾症、外反母趾、足の骨折などが原因で、左右の骨格が崩れて、左右どちらかに負担がかかることがあります。左右のバランスを取るために、首の筋肉も含めた筋肉でバランスを取ろうとするため、筋肉が疲労して腰痛や首の痛みを生じることがあります。
さらに、最後に、交通事故による頸部の損傷は非常に多く、そのほとんどは、ぶつかった衝撃で頭が大きく揺さぶられることによる「頸椎捻挫」です。首の筋肉に大きな負担がかかったために首の筋肉が一部損傷することがあるために起こると考えられています。
頸椎の圧迫・変形によるもの、及び頸髄の圧迫・損傷によるもの
前述した「ストレートネック」以外にも、頚椎を支える靭帯が骨化(骨に置き換わる)する「脊柱靱帯骨化症」や、「頸椎症・頚椎椎間板ヘルニア」、関節リウマチに合併する「脊椎関節症」、事故による「頸椎損傷」などが挙げられます。
「脊柱靱帯骨化症後」は、中年以降に発症率が高く、遺伝性が指摘されている病気です。脊椎は多数の靭帯で支えられていますが、その中でも特に後縦靱帯、黄色靱帯、前縦靱帯が骨化することが多く、骨化が進むと頚椎が動きにくくなり、首が回らない、首が痛い、手足がしびれるといった症状が出現します。症状がひどい場合は手術を行いますが、完治が難しく、再発も多いため難治性の疾患の一つです。
「頸椎症・頚椎椎間板ヘルニア」は上下の頸椎のクッションの役割を果たしている椎間板や頸椎自体が、加齢などによって変形して、末梢神経や脊髄を圧迫する病気です。頸椎症は中年以降に多いのですが、頚椎椎間板ヘルニアは比較的若い年齢(30歳代頃〜)にも認めます。
リウマチは、全身の関節や骨に影響を及ぼしますが、頚椎も例外ではなく、7つある頚椎の部位のどこに病変があるかで重症度が変わります。特に注意が必要なのが、第1、第2頸椎にある環軸椎(かんじくつい)であり、この周囲が影響をうけると、第1、第2頸椎が亜脱臼を起こし(環軸椎亜脱臼)、脊髄が圧迫されて、首のいたみ、手足のしびれ・筋力低下を自覚します。重症化すると、食事ができず、歩行不能となります。
最後に、交通事故など高所からの転落などで、「頸椎骨折」を起こすことがあります。この場合も首の痛みが生じますが、神経を圧迫するほどの骨折だった場合、圧迫される神経部位によっては呼吸不全や下半身不随、ときには死に至こともあり、骨折すると非常に危険な部位となります。
内臓疾患による関連痛
意外かもしれませんが、胃・心臓・胆のうといった内臓の異常が起こったときに、頸部痛が起こることがあり「関連痛」と呼ばれています。
神経は複雑に交わり、脳へ信号を伝達していますが、脳が内臓の痛みを間違って肩こりや頸部痛として認識することがあるのです。
例えば、心筋梗塞では、頸部痛以外にも背部痛や肩の痛み、歯痛などの症状が起こることがあり、痛みが心臓部分から広がる場合は「放散痛」とも呼ばれます。これらの症状は心筋梗塞の初期に起こることが多く、心臓から離れた部位であるため、診断が遅れるケースがあります。
腫瘍、感染症によるもの
頻度の高いものとしては、「咽喉頭(のど)のカゼ」や「唾液腺炎」で首も含めた全身の筋肉・関節が痛くなる、あるいはリンパ節が腫れて(多くは圧痛があります)首の痛みを生じることがあります。みなさんも一度は経験したことがあるのではないでしょうか?
甲状腺では、「亜急性甲状腺炎」という甲状腺に炎症が起きる病気があり、前頸部に圧痛を伴う痛みを生じます。
「悪性腫瘍(ガン)」では、頸部のリンパ節がしこりとして触れることがあります。頸部リンパ節腫脹は、のどや食道、肺、甲状腺を含め全身のガンが原因となります。リンパ節や頸部のガン大きくなると首の筋肉や神経に浸潤したり圧迫して、首の痛みの原因となります。
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2015年12月12日 : 腰の痛み
すべり症と言う言葉を聞いたことがありますか?すべり症とは腰の骨(腰椎)が腰本来のカーブを何らかの異常で支えれなくなりすべる(ずれる)状態のことです。
すべり症になると繰り返す腰痛、慢性的な腰痛、足のしびれなどを引き起こします。高齢者に限らず、子どもも起こしやすいすべり症。どのようなタイプの人がこのすべり症になりやすいのでしょうか?
⒈「高齢者に多く発症」
すべり症は高齢者に多く発症しています。腰椎を支える靭帯の組織や椎間板が年齢とともに衰えていく事により腰椎を支える力が弱くなってきてしまうからです。
若い人でも腰椎がすべることはありますが、若ければ靭帯も柔軟性があるので腰椎がすべってしまってもすぐに元に戻ることが出来るのです。
しかし年齢を重ねていくと若い頃と変わらない動きをすると靭帯が衰えているので柔軟性がなくなり、腰椎がすべってしまって元に戻る力がなく、すべったままになり腰痛を引き起こしてしまうのです。
そして「変形性腰椎症」がもとになり、その変形によりすべり症となる場合があります。
変形腰椎症は女性が起こりやすい事から特に女性の高齢者の方にすべり症は多く見受けられます。
2.「腰に負担をかける仕事」
腰に負担をかけ続ける仕事をしている人もすべり症に注意が必要です。
配送など重い荷物を何回も上げ下ろししている人や医療や介護関係など患者さんを支えたり抱えたりなどを繰り返している人は毎日、腰に負担をかけ続けています。
この様に腰の負担が大きい仕事の人は若いひとでもすべり症になることがあります。また意外かもしれませんがデスクワークの仕事中心の方も起きやすいのです。
猫背の姿勢を保って作業を行ったり、足を組んで長く机に座っていたりすると背骨に負担が大きくかかりすべり症を引き起こしてしまいます。
長い間同じ姿勢でいる事も腰には大きな負担になります。トラックの運転手、タクシードライバーも同じ姿勢を何時間も繰り返したままの運転になるのですべり症を引き起こす可能性があります。毎日忙しく時間がないかもしれませんがストレッチなどを心がけるようにしましょう。
3.「激しいスポーツをする人」
激しいスポーツをする人も起こりやすいといえます。
スキーやスノーボードの転倒によって腰の骨に大きな力が加わり骨折する。この場合は外傷性のすべり症になることもあります。他にもまだ筋力がついていない時期に無理な負担をかけるようなスポーツを行う。
一度に大きな負担をかけてしまうと負担が大きいのもわかりますが、毎日部活などで練習を行うと小さい負担を何度も重ねてしまいます。野球のピッチャーなどもこれにあたり、一日に何球も球を投げていたら腰が痛くなってしまったという人も。
毎日の腰のひねりなどの小さな負担が腰には大きく影響し、すべり症を引き起こす原因になります。しっかりと準備体操や筋力をつけてから行う必要があります。
4.「子どもにも多いすべり症」
小さいお子さんにもすべり症は注意が必要です。今は様々な運動も小さい頃から本格的に習っている子どもも多く見受けられます。まだ体がちゃんと出来上がっていない状態だと筋力も未だ付いていません。
そんな時に本格的なスポーツを始めてしまうと小さい体はその負担に耐えることが出来ません。「子どもが腰痛なんて…」と腰の痛みを子どもが訴えていても「そのまま寝たら治るわよ」と簡単に考えてしまいがちです。が、若い頃から腰痛持ちになれば様々な意欲が消されてしまうことも起こりかねません。子どもの将来に後悔しないよう、何日も腰の痛みを訴えるようなことがあれば早めに診察を受けたほうが良いでしょう。
まとめ
いかかでしたでしょうか?すべり症とだけ聞くと何の病気なのかわかりにくかったと思いますが、腰の骨がすべっている状態になることにより痛みがでてくるのです。
小さい子供からお年寄りまで様々な人がなり得る可能性がすべり症にはあります。その中でもなりやすいタイプはやはり腰椎が衰え始める高齢者の方になります。次に腰に大きな負担を毎日かけ続けている人。又は腰への1回の負担は大きくないが、日々少しずつ負担をかけている人。
そしてもうひとつのタイプの方は姿勢が悪い人。この3つのタイプの人がすべり症になるタイプといえるでしょう。仕事で負担をかけてしまう人は避けようがありません。
高齢者の方も歳と共に訪れてしまうので避けられません。部活などもなかなか休むことは難しいでしょう。この場合はストレッチや運動を行って筋力などをつけると良いでしょう。
小さいお子さんの場合は体の負担の少ない運動から始めることによって防ぐ事は出来ると思います。腰痛は歩くのもおっくうになり外に出て何かをやろうと思う意欲まで奪い取ってしまいます。しかも症状によっては頻尿や残尿感、便秘まで引き起こすことがあるすべり症。腰痛があればそのままにせずに早めに治療を行うとよいでしょう。