整体師が教える脊柱管狭窄症の2つの症状

2015年11月25日 : 腰の痛み

脊柱管とは、背骨である脊椎の中を通っている筒状の空間です。脊椎は椎骨という小さな骨がいくつも積み重なることで構成されており、この連なった椎骨で作られた脊柱管という空間の中を脊髄が走っています。

脊柱管狭窄症とは、この脊柱管が何らかの原因によって狭められることによって神経が圧迫される病態です。

脊髄神経は脳からの運動指令を手足に伝えたり、反対の手足の感覚を脳へと伝えたりする役割を担うことから、この神経が圧迫されることによって手足の運動麻痺や感覚障害を引き起こします。

この脊柱管狭窄症による具体的な症状についてご紹介します。

 

腰部脊柱管狭窄症による症状

 

脊柱管狭窄症が最も起こりやすい部位は腰であり、腰で起こった脊柱管狭窄症は腰部脊柱管狭窄症という診断名がつけられます。

 

腰部脊柱管狭窄症では、腰痛や腰回りの重苦しさ、違和感、ハリなどの腰の症状に加えて、下肢のしびれや痛みなどの症状を伴います。この下肢の症状は神経の圧迫のされかたによって、症状の出る部位や程度に違いが出てきます。これは、大きく神経根型、馬尾型、混合型の3つにわけて考えることができます。

 

私たちの脳からの指令は中枢神経である脊髄を下降し、末梢神経である脊髄神経となって手足や体幹へと伝えられます。反対に、手足や体幹の感覚入力は、脊髄神経から脊髄を上行し、脳へと伝わります。

この時、脊柱管の中を走行する脊髄から、脊髄神経となって椎骨の下から分岐している根元の部分が神経根です。神経根には、前根と後根があり、前根は主に運動神経を、後根は主に表在感覚や深部感覚の入力の役割を担います。

そのため、神経根型の腰部脊柱管狭窄症では、圧迫されている神経根が直接司っている運動機能もしくは感覚機能に障害をきたします。

腰椎と腰椎の間から出ている神経根・その先の脊髄神経は臀部や下肢へと分布しているため、症状も臀部や下肢に生じます。また、症状が出るのは片側のみであることが多いです。

 

また、脊柱管の中を走行している脊髄は、腰部の途中あたりから馬尾神経という末梢神経へと形を変えています。この馬尾神経は臀部、下肢に加えて会陰部の運動・感覚機能にも関与しています。

そのため、馬尾型の脊柱管狭窄症では、臀部、下肢のしびれ、痛みに加えて、会陰部のしびれや灼熱感、ほてりなどの異常感覚が起こりやすくなります。

また、残尿感や頻尿、失禁などの膀胱直腸障害が起こることがあるのも馬尾型の特徴です。

 

混合型は、この神経根型と馬尾型が合わさった病態であり、両方の症状が引き起こされる可能性があります。

 

また、腰部脊柱管狭窄症の特徴的な症状として、間欠性跛行と呼ばれる下肢のしびれがあります。

これは、安静時や歩き始めには症状がありませんが、長時間歩き続けることで下肢のしびれや痛みなどが現れます。さらに、その後休憩をとることで症状が緩和し、また歩き出すことができるのが特徴です。疾患が重度となるにつれて、歩き始めてから症状が現れるまでの時間が短くなり、ひどくなると立っているだけでも困難となります。

閉塞性動脈硬化症などでも血管性の間欠性跛行が生じますが、腰部脊柱管狭窄症では前屈みになることで症状が緩和しやすいという違いがあります。

これは、前屈みの姿勢をとることで、脊柱管が少し広がり、神経の圧迫が軽減されることによる影響です。反対に、腰を反らせるような動きをすると、症状が強くなることが多いです。

 

頸部脊柱管狭窄症による症状

頸部の脊柱管狭窄症は、脊柱管狭窄による神経への圧迫が頸部で起こっている状態です。

この頸部の脊柱管狭窄症では頚髄神経が主に支配している上肢から指先にかけての症状が現れます。

また、運動機能としては、シャツのボタンをかけたり、箸を使ったりといった指先の細かい動きが難しくなることや、握力の低下などがみとめられます。

握力は、握力計を使って数値として確認することができるため、症状のない方との違いを見るときや、病状進行具合、治療効果を見る際にも役立てることができます。

腰部脊柱管狭窄症と同様に、身体を後方へと反らせる動きで症状が悪化しやすい傾向にあります。つまり、頸部の脊柱管狭窄症では上向きに首を反らせることで痛みやしびれが走 るため、ふと上を見上げた際やうがいをしようとした際などには注意が必要です。

 

また、頸椎への負担がかかっている原因として首周り、肩甲骨周りの筋肉の緊張・コリがある場合が多く、その場合は首周りの硬さや痛みといった症状を伴います。

指先のしびれや動かしにくさなどに気づかず、ひどい肩こりなどかと思っている間に疾患が進行していることもあるのが、頸部の脊柱管狭窄症の特徴です。

さらに、頸部を通っている脊髄自体に圧迫が加わっている場合には、下肢にもその症状が及ぶ場合があります。この場合には、頸部の神経の圧迫を取り除くことで、下肢の痛みやしびれなどが改善することになります。

 

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