ご存知ですか?分離症は骨折なんですよ!

2015年11月25日 : 未分類

分離症は、スポーツを行う子供が、腰の曲げ伸ばしやひねり運動を繰り返すことで背骨に負担がかかり、疲労骨折することにより起こる病気です。骨折なので、早めに発見すれば折れた骨を再度くっつけることが可能であり、分離症の原因を知ることで早めの対策をとることができます。

今回は、そのほとんどが成長期の子供にみられる分離症の原因についてお話しします。

1.生まれたての赤ちゃんは分離症がない?

昔から、分離症は小児期~高校生までのスポーツをほぼ毎日行う子供に多く認められ、年齢が増すにつれて発生頻度が増加することがわかっていました。

そこで、問題となるのは、生まれつきの素因である「先天性(せんてんせい)」の病気なのか、生まれたあとに要因がある「後天性(こうてんせい)」の病気かということでした。両者では治療法が大きく異なる可能性があるからです。

調査の結果、二足歩行ができない胎児や新生児では分離症を認めないことが明らかになりました。このことから、分離症のほとんどが生まれつき発生しているのではなく、主にスポーツによる反復的な力学的負荷という後天的な原因で発生していると考えられました。

2.生まれ持った素因も関与

しかし、人種的に発生率が異なり、二分脊椎といった椎弓や椎体の形態異常がある人に多くみられ、兄弟姉妹といった家族間で発生する傾向も認められることから、分離症を起こしやすい先天的な形態的異常があると考えられています。

このことから、分離症は、先天的になりやすい素質の上に、後天的な要素であるスポーツによる負荷が加わることで発生すると推定されています。

3.腰椎に多い分離症

発生する部位は、5つある腰椎のうち一番下にある第5腰椎に多い(約90%)ことがわかっています。立った状態では、第5腰椎とその下の仙骨(せんこつ)の間で上半身の重さを支えており、一番負荷がかかりやすくなります。

画像技術の進歩により、スポーツによる力学的な負荷の画像解析調査が可能となりました。調査では、体を反らす動き(伸展運動)やねじる運動(回旋運動)が繰り返しおこなわれることで、第5腰椎の椎間関節周囲に力学的な負荷がかかって椎弓(ついきゅう)と呼ばれる椎骨から背中側に突き出た突起が、疲労骨折を起こすことがわかりました。

さらに詳しく説明すると、腰を反らす伸展運動では、椎弓をせん断(はさみでものを切る時のちから)するような伸展ストレスが働きます。そして、腰をねじる回旋運動では、椎弓を上下別方向へ回旋させるストレスが働きます。

伸展と回旋という2つのストレスが反復することで、腰椎の椎弓の下の部分から徐々に亀裂が生じます。そして、何度もストレスが加わることで完全に分断し、時間がたつと、完全に分離した骨同士が関節のような働きをするため、「偽関節」と言われます。

椎骨周囲にはたくさんの神経が走っており、また、骨膜にも痛みを感じる神経があるため、亀裂がはいった発症早期には痛みが強く現れることが多いです。

テニス、ラグビー、サッカー、野球、バスケットボール、器械体操、フィギュアスケートなど、ほとんどのスポーツが、腰の伸展運動や回旋運動を要します。

このため、分離症発症の際には、スポーツを一時的に中止して、コルセットを用いて腰の伸展ストレスや回旋ストレスを軽減することが重要となります。

4.なぜ大人に少ないのか

日本では、人口の約6%、700万人程度が分離症であると予測されています。男女別では男性が女性の倍で、男性に多い疾患です。

また、ほとんどの分離症発症時期は10~17歳ころまでの発育期で、成人になってからの発症は極めてまれです。18歳以降になると、椎骨がしっかり骨化して硬くなるため、起こしにくくなります。

どの国でも、有名なスポーツ選手は幼少時から厳しいトレーニングを積んでいます。成長期の子供の骨はしっかり骨化しておらず、大人よりも細く弱いため、腰の回旋や伸展のストレスに耐え切れずに骨折すると考えられています。

腰痛をもつ若いスポーツ選手の多くが分離症を発症していると言われており、運動時の症状がひどいため、手術を要する、あるいは選手生命をたたれることもあります。子供のスポーツ教育をサポートする大人が正しい知識をもち、子供達に安全にスポーツを行ってもらうことが大切です。

5.なぜ分離すべり症なるのか?

分離症がさらに伸展すると、上下の椎骨固定が不安定であることから、椎骨が前後にすべる「すべり症」になります。

子供では、椎骨がまだ完全に硬い骨ではなく、成長軟骨という柔らかい骨で一部が形成されているため、その部分が力学的に弱いことが原因です。

幼いほど、骨が未熟であるため、すべり症合併は、幼いほど発生率が高くなります。このため、たとえ偽関節期という病態が進行した状態であっても、すべり症を予防するためにコルセットで体幹固定を行うことがあります。

6.高齢者の分離すべり症

高齢者では、骨密度の低下や、椎骨と椎骨の間にある椎間板(ついかんばん)の変性により、椎骨が不安定になり、椎骨が前後にすべる「すべり症」と、さらに椎弓が骨折する「分離症」を合併する「分離すべり症」を起こすことがあります。

 

 

 

1 / 1

ページトップへ戻る

ページを閉じる