2015年12月31日 : 未分類
膝の前面が痛いあなた「前十字靭帯」という靭帯をご存知ですか?
前回、膝には膝を安定させるために必要不可欠な4つの靭帯、「内側側副靭帯」「外側側副靭帯」「前十字靭帯」「後十字靭帯」があるというのをご説明させていただきました。
そのうち、内側側副靭帯が最も損傷する頻度が高いのですが次に多いのは前十字靭帯なのです。
今回はその前十字靭帯について詳しく述べていこうと思います。
膝・前十字靭帯
前十字靭帯とは、膝関節内の大腿骨外カ内壁(太ももの骨)から脛骨カ間部中央前方に扇状に広がりながら付着する靭帯で、膝が前後に揺れるのを制御して安定性を確保しています。
前十字靭帯の主な機能は下腿が内側に過度にひねらないようにすることと、脛骨の前方移動の制御、つまり脛骨が前に飛び出すのを防ぐこと、そして膝をひねる・回旋させる「回旋動作」のコントロールをしています。
どのようにして前十字靭帯が損傷されるのか。
前十字靭帯損傷が起こるケースは、非接触型と接触型の大きく二つがあります。
単独損傷では、スポーツ活動時や日常生活でのジャンプの着地時や急停止、急な方向転換、急停止・急な切り返しなど、すばやく身体の向きを変えたときに膝が大きくひねられて起こる非接触時の機序で発生することが多いです。
それの多くは大腿四頭筋(太もも前面の筋肉)の自家筋力が発生に関与していると考えられています。
そしてスポーツの場で発症しやすい例をあげていくと野球・サッカー・バレーボール・バスケットボール・スキー・格闘技・ラグビー・柔道などです。
膝の前後方向への力「旋断力」とひねる動作「回旋力」のコントロールをする前十字靭帯は歩く・走る・ジャンプ・方向転換・瞬発力といった動作で負荷がおおいにかかるので、特に柔道やラグビーのタックルなどで膝関節に物がぶつかる、あるいは転倒した際に膝の前面を強く地面に打ち付けるなどの衝撃で靭帯が損傷する接触型や、事故の他に膝が内側に曲がったり、膝が伸びきった状態から更に伸ばされるといった外力が加わる接触型もあり、非接触型に比べて接触型のほうが割合的に多いといわれています。
一方、柔道やラグビーのタックルなどで膝関節に外反・回旋力が加わり発生する接触型では、内側側副靭帯をはじめとする他の靭帯損傷を合併することが多いのです。
特徴的な症状とはどういうものなのか。
受傷時には膝がずれた感覚や膝がぬけるような感覚があり、「ブチッ」「ゴキッ」「バチッ」などの断裂音(pop音)が聞こえることがあり自覚するかたが多いです。受傷直後から痛みと膝の不安定感を訴えて、スポーツ活動などの続行は困難となります。
受傷数時間後、時間経過とともに関節内に血液がたまり関節血腫による膝の腫脹を認め、腫脹の増大とともに膝関節を曲げることが著しく制限されます。
急性期の症状が落ち着いたあとには、急停止や方向転換など膝を使う際に不安定感を感じてぐらつくことや、歩いている際に膝がガクッとくずれるような膝崩れがみとめられます。
受傷時に痛みは大きく感じますが、その後は膝を曲げたり体重をかけたりなどの運動時痛がみられます。
徒手検査方法
①前方引き出しテスト
患者側は上向きに寝てもらい、股関節45度・膝関節90度曲げ、検者は足部中間位の前足部に臀部を乗せて固定します。
次に脛骨中枢端を両手でつかみ、ゆっくり前方方向に引いたり押したりして膝関節の動揺性を確認します。
②ラックマンテスト
患者側は上向きに寝てもらい、患者の大腿遠位端部をもち一方の手を下腿の近位をもって膝関節軽度屈曲で下腿の方から前方へ引き出します。その際に健側に比べて抵抗感や前方に引き出されるのが著名であれば陽性とします。
治療方法
断裂した靭帯は保存では癒合が望めないので、手術を行うほかありません。ただし切れていなければ、固定やサポーターなど安静を保つ保存療法をとり、患部の固定を行いながら膝周りの筋肉を鍛えることでも十分膝の機能を回復させることができます。