2016年3月12日 : 腰の痛み
「え、ここ数日排便がない。もしかして、また便秘?」
そう悩む言葉を耳にしたことはないですか?便秘症とは無縁だった方でも、加齢と共に排便回数が少なくなるという傾向が見られるようです。
また、長年便秘症だった方も、何とか自力で排便出来ずに、整腸剤や下剤に頼ることも少なくありません。この原因となっているのは複数の要因が単独、もしくは重なり合って便秘を起こしていると考えられています。
便秘の種類
便秘とは数日排便がない、または排便が困難な場合を指し、腹部の張り、ガス排出、腹痛を感じ、やっと排便があっても排便時の痛み、出血、残便感を感じることがあります。
【器質性便秘】
臓器や組織に明白な原因となる疾患がある場合をさし、今回のような便秘症では、胃、小腸・大腸、肛門といった消化管の狭窄や狭小による消化物の通過障害があり、炎症・潰瘍、ポリープ、腸管癒着など原因疾患の治療や外科的な対応が必要になります。特に、中高年では短期間に便秘症になり、体重減少や貧血・血便を伴う場合には消化器の悪性腫瘍の疑いがあります。
【機能性便秘】
器質性疾患:器質性とは反対に、臓器や組織に明らかな疾患はなく、消化管の機能が低下や病気に由来しない異常状態である場合を指し、食生活や生活習慣などが原因で起きる便秘です。その種類は、弛緩性・けいれん性・直腸性に分けられます。
①緩性便秘・・・その移動は、腸粘膜にある横ひだと絨毛といった無数の突起がうねるようにして運搬作業を行っており、これを蠕動(ぜんどう)運動と呼んでいます。胃で消化されてドロドロになったもの=腸内容物が送られてくると、腸内容物を肛門まで運搬しようと、大腸では蠕動運動を始めるのですが、突起は自分ではうねることができないので、その根元の縦走筋(平滑筋の一種)が突起を圧し上げて動かすのです。
ですが、この圧し上げる筋肉が弱かったり、腸内容物を肛門まで運ぶ持続力がなかった場合、運搬作業は途中で止まってしまします。
つまり、腸を動かす筋肉が弱いと、便は動けずに腸内に留まることになるのです。これを弛緩性便秘といいます。運動不足になると縦走筋は活動しにくくなりますから、筋力の衰える高齢者に、特に長期臥床(寝たきり状態)にこの傾向が多く見られます。他にも肥満症、糖尿病、向精神薬を用いる精神疾患にも発症しやすくなります。
②けいれん性便秘・・・弛緩性便秘とは反対に、腸管の緊張が亢進して、けいれんを起こしている状態になります。つまり、腸管に付随する縦走筋や輪走筋が活発に動きすぎてしまい、腸管の蠕動運動が邪魔されることによって便秘になります。これをけいれん性便秘といいます。
腸を動かそうにも動かせない、けいれんが起きても止められないといったにコントロール不能になっているのは、自律神経の調整がうまくいったいないからで、ストレスや自律神経失調症などに多く見られます。
③直腸性便秘・・・下行結腸を過ぎると、腸内容物は一旦直腸に貯められます。直腸の内圧が18mmHg以上になると、脳の排便中枢に神経伝達が行われて、便意を感じます。これを閉便反射と呼びます。この反射が起こると腸管に付随している輪走筋(平滑筋の一種)がギュッと知人で肛門についている内肛門括約筋を弛めようとします。
すると、更に下にある外肛門括約筋が「まだ出てはいけない」と肛門を締めるように縮めて排便を止めるのです。そのまま、外肛門括約筋には頑張ってもらい、トイレに入って初めて腹直筋に力を入れると共に、「いいよ、出ても。」と脳からの伝達が起きて、やっと外肛門金を弛めて排便できるわけです。
やってきた便意を我慢すると排便反射が鈍くなり、内外肛門括約筋の筋力低下して弛緩や収縮が意思通りに行われなくなって、便秘になってしまいます。これを直腸性便秘といいます。縦走筋や輪走筋といった腸に付随する筋肉に緊張感がなくなって、伸びたゴムのような状態にあるといってよいでしょうか。ですから、直腸性はほとんどの場合、弛緩性を伴うことが多くなっています。
便秘を解消しましょう
昔、お腹が痛かった時、あるいは排便できなかった時、よく「の」の字を書くようにおなかを撫でたり、マッサージしたりしませんでしたか?その「の」の時の通り、胃で溶かされた食べ物は、全長およそ7mの腸を通り、約20時間もかけて排出されます。便秘とはその長い工程のどこかで便が車の渋滞のように滞っているのです。
便は栄養や水分を吸収し終えた老廃物…言ってしまえば「絞りカス」です。長い間腸に留まれば、腐りもしますし、ガスも発生します。生ごみをお腹に抱えているようなものですから、何とか解消したいですよね。器質性便秘は専門医の治療が必要になりますが、機能性便秘は私たちの生活をちょっと見直すだけでも改善余地がありそうです。
①筋肉を強化しましょう
弛緩性便秘は蠕動運動を促し、腸内容物の運搬することで解消されます。蠕動運動は腸管に付随している筋肉腸を動かすことでおきますから、筋力を強化すればいいのですが…腸壁についている縦走筋や輪走筋は目に見えるわけでも、手で触れるわけでもありませんから、鍛えられているのかの判断や、どう鍛えたらよいのかという方法を探ることはなかなか難しいことのようです。ですから、その筋肉に収縮を与えるその外側の筋肉…つまり、おなか回りの筋肉を鍛えることが一番の早道といえるでしょう。そう、いわゆる腹筋です。
CMのように、絵にかいたような腹筋運動が絶対に必要なわけではありません。もちろん、毎日のジョギングやジムでの運動ができれば一番ですが、腰椎ヘルニアや関節の変形などで皆が皆、そのようなトレーニングが行えるわけではありません。
ですが、手軽にできる腹筋訓練がありますよ。お腹に力を入れて数秒間静止するだけでも腹筋に緊張を与えることができます。仰向けになって、おへそを浮かせるようにお腹に力を入れることも軽い腹筋になります。少しずつ1回あたりの回数を増やしたり、力の入れ方を強くしていけばいいのです。トイレに立つ度、食前の10分間といった定期的な運動から、無理せず、できる運動から始めてみましょう。
また、歌う時に腹式を使うことも、階段の上り下りに一段ずつ吸って吐いてとゆっくり呼吸方法を行うことも、腹筋のトレーニングになっています。弛緩性便秘は運動不足の人や高齢者に多いと記載しましたが、これは浅い呼吸を繰り返すことで、深く呼吸をする腹式呼吸をしないことも原因しています。おなかに力を入れるようにゆっくりとした呼吸を心がけましょう。
②ストレスを解消しましょう
脳からは「消化を開始して」といった動作指令に加え、「嬉しい・悲しい」などの感情も、「神経伝達物質」を介して神経の細胞から細胞へ、情報として伝えてられています。腸にはその神経細胞が敷きつめられるように存在していますから、ストレスを感じれば、脳が「ストレス」と認識するのと同時に、腸もストレスを感じて、腸の機能は活発性を失って低下してしまいます。
また、脳の1割に対して、腸には9割存在するという「セロトニン」とう神経伝達物質は存在します。このセロトニンはこころのバランスを整える作用のある伝達物質で、「幸せホルモン」とも呼ばれていますから、ストレスを感じた腸ではセロトニンの分泌が行われず、精神バランスが崩れ、元気を失うばかりか、不安症やうつ病などの精神疾患を発症するとされていわれています。
こころの状態とダイレクトなつながりがある腸を、まずは「ストレス」から解放してあげることでけいれん性便秘は解消されます。ちょっとしたことでいいので、「うれしい」「幸せ」と感じる瞬間を作ってみましょう。
例えば、今日は天気がいいとか、髪形が決まった…とか。そうすると、脳から、腸から幸せホルモンのセロトニンがたくさん分泌されて、少し「ストレス」からの重圧からこころが解放されることで「うれしい」「幸せ」と感じる瞬間は断然増えてきますから、その度にセロトニンがまた分泌されます。
セロトニンの活躍で自律神経や腸環境が整っていきますから、排便しやすくなります。少しの量の排便でも、便秘から解放されたことで「幸せ」を感じ、また、セロトニン分泌につながります。少しでも便秘が改善傾向を見せれば、自律神経が正常な働きを取り戻し、腸が動きやすくなり、蠕動運動を促し、次の排便準備を行ってくれるというわけです。
③トイレを我慢しないようにしましょう
外出先ではリラックスして排便できない、個室にこもるのは恥ずかしい、仕事が忙しくてトイレに行きたくても我慢してしまう、かといって、朝は忙しくてゆっくりトイレお時間を確保できないなど、排便時間を疎かにしてはいませんか。便意を我慢すると「排便反射」が弱くなり、便をせき止めてしまします。
すると、何度も無視された内外肛門括約筋はその力を失って、弛緩や収縮が意思通りに行われなくなって、便秘になってしまいます。また、便意を我慢することは便秘につながるだけでなく、我慢していることをストレスに感じてけいれん性便秘につながることにも、警鐘が鳴らされています。
便意を我慢する現象は成人だけではなく、小学生や中学生、高校生にも多く見られるようになってきました。男の子の場合は個室に入る=排便と周囲に分かってしまう、女の子の場合は集団行動をとる傾向からトイレに時間をかけられないといったことで、学校や外出先では排便を我慢してしまうのです。
まずは、便意を感じたら、それが学校でも外出先でも、仕事の最中でも、きちんと排便しましょう。排便反射が正常に起き、内外肛門括約筋が弱ることなく動くことができて、直腸性便秘を解消できるようになります。また、朝、5分余裕を持って起きることで、トイレの時間を確保しましょう。
毎日決まった時間にトレイに入るということは、体内時計に「トイレ」時間が設定されて、「ここでなら排便できる」「ここで排便しておこう」と脳が認識して、排便しやすい状態を作りやすくなります。現代では、携帯やゲーム、身支度にはとても時間をかけるのに、トイレに入る時間を惜しむ傾向がありますが、体のため、こころのためには、排便時間を割くことも大切です。
まとめ
もちろん食べ物による腸コントロールや腸内環境を整えることも大切です。ですが、筋力低下、ストレス、便意をそのまま放置しておくと、だんだん腸の働きが悪くなって、頑固な便秘になってしまいます。
便秘歴が長ければ長い程、腸は悪環境にさらされ、改善するのにも多くの時間とエネルギーが必要になります。無理なく、毎日小さな努力を継続することで便秘症を食い止めて、少しでも向上するように、腸を、体を、こころを、便秘症から解放してあげましょう!
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