痛みのある椎間板ヘルニアになったら出る2つのパターン

2015年10月23日 : ヘルニア

人間の脊椎(背骨)は33個の椎骨と呼ばれる小さい骨が連なり合ってできています。椎間板はこの椎骨と椎骨の間に存在する円板状の線維軟骨であり、この椎間板が椎骨にかかる衝撃を吸収したり、脊椎の柔軟な動きをサポートしたりしてくれています。

 

椎間板ヘルニアは加齢や衝撃が原因となって、この椎間板の中から髄核組織と呼ばれるものが外に突出してしまい、神経を圧迫している状態を指します。身体を支配する神経は大元の脊髄として脊椎の中を走っており、椎骨と椎骨の合間から外に出てきて、手や脚へと広がります。椎間板ヘルニアでは、この大元の脊髄や外に出ていく神経が突出した髄核によって圧迫されることで、痛みやしびれ、運動麻痺といった症状が引き起こされます。

 

椎間板ヘルニアは主に頸椎、腰椎において生じやすい疾患であり、その発症部位によって症状が異なります。また、神経の圧迫の仕方、程度は人によって様々ですので、同じ椎間板ヘルニアであっても、症状の出方というのは人によって異なります。

 

ここでは、頸椎椎間板ヘルニア、腰椎椎間板ヘルニアのそれぞれの痛みをはじめとする症状についてご説明します。

 

頸椎椎間板ヘルニアの症状

頸椎椎間板ヘルニアは、髄核が後方もしくは後側方へと脱出して、神経を圧迫することが多いとされています。特に30〜50歳代の男性に発症しやすいです。

 

頸椎症状としては、後頭部や頸部を中心に背中にかけての痛みやしびれを引き起こします。また、首を動かすことで痛みが強くなるという特徴を持ち、反対に安静にしていると痛みが治まります。さらに、主に上半身の運動や感覚を司る神経が圧迫されることによって、肩甲骨周りから腕全体に痛みが広がるほか、しびれや感覚障害などの症状も引き起こします。この神経の圧迫は片側を主とし圧迫することが多く、それに伴い痛みやしびれ、感覚障害といった症状も片側のみに現れることが多いとされています。また、両側に症状が現れた場合にも、より神経圧迫の強い側の症状が強くなります。さらに、手先のしびれや痛み、動かしにくさなどから、字が書きにくい、ボタンがとめられない、箸が上手に使えない、などの日常生活での問題も生じてきます。

 

また、脊髄自体を圧迫している際には腕だけでなく、脚にまでしびれなどの症状が広がる場合もあります。この際の症状は痛みよりもしびれが主となります。脊髄の圧迫が強い場合では、歩くことが難しくなったり、階段の昇り降りに手すりが必要となったりすることもあります。また、さらに障害が進行すると、膀胱直腸障害と呼ばれる排便や排尿がコントロールできない状態を引き起こすこともあります。

 

腰椎椎間板ヘルニアの症状

腰椎の椎間板ヘルニアは20歳代、30〜40歳代、50〜60歳代の順に活動性の高い男性に多いとされています。幅広い世代で発症しやすく、比較的若年であっても罹患しやすいという特徴があります。

 

腰椎椎間板ヘルニアによる疼痛は腰の痛みと片側の脚の痛みが主となります。多くの患者においては、運動や労働によって痛みが悪化し、休息を取り安静にすることで痛みが治まる傾向にあるとされます。

 

腰椎椎間板ヘルニアの経過としては、突然急激に痛みが強くなる場合と少しずつ痛みが広がってくる場合があります。突然痛みが強くなるケースとしては重いものを持ち上げた際や身体を激しく捻った際などのその刺激によって激しい痛みが誘発されます。その多くは、慢性の腰痛が繰り返し生じている中で、様々なきっかけによって激しい腰痛と脚の痛みに襲われ、発症することになります。その直後は動くこともできないような激しい腰痛にみまわれますが、1〜2日で腰の痛み自体は軽減していき、その後は神経の圧迫による脚の痛みとしびれが主な症状となります。

 

ゆっくりと進行していく場合には、最初は同じ姿勢を長時間維持することで違和感を覚えます。座った姿勢や立った姿勢で長時間を過ごすことで、腰から臀部、脚にかけて重苦しいような痛みが徐々に生じます。この症状が進行することで、徐々に痛みの範囲や程度が拡大していきます。

 

また、腰椎椎間板ヘルニアの方はその痛みをかばうことから動きにも特徴が見られやすいです。歩く際も痛みの強い腰や脚をかばうように、腰に手を当てたり、上半身をかがめて片側の膝を曲げたまま歩いたりします。また、前かがみになるような腰を曲げる姿勢、腰を捻るような動作で痛みが引き起こされるため、これらの動作を避けようとして不自然な姿勢、動きがみられやすくなります。咳やくしゃみで激しい脚の痛みが生じる、デジェリーヌ徴候と呼ばれる症状も、腰椎椎間板ヘルニアに特徴的な痛みの1つとして挙げられます。

 

また、ヘルニアによる神経圧迫が重度化すると、両脚に非常に強いしびれや感覚障害、運動麻痺を引き起こします。さらに、尿閉や残尿、尿漏れなどの排尿障害、ひどい時には尿意や便意を感じることができずに失禁してしまうような膀胱直腸障害を招くこともあります。

 

 

 


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